今回は、私自身の株式投資の経験をもとに、リスクとリターンの本質 についてお伝えしたい。
今から30年ほど前、30代で少しお金に余裕ができた頃、思い切って株式投資を始めた。
当時はネット証券が出始めた頃で、手数料が最安だったリテラクレア証券に口座を開設した。
元手は100万円。その3年ほど前から株価の動きを毎日チェックし、半導体や電子部品、そして株主優待が魅力的だったオリエンタルランドなど、
「景気が良くなると上がりやすい銘柄」を自分なりに研究していた。
日経平均が10000円近くまで落ち込んだとき、
「ここが底だ」と判断し、ドキドキしながら注文を入れた。
その後、少しずつ銘柄を増やし、
50代の頃には17銘柄を保有するまでになった。
評価額は3000万円を超え、
「自分は投資がうまいのではないか」と本気で思っていた。
■ しかし、還暦を迎えたときに“現実”を突きつけられた
第1話で書いた通り、大手証券会社に全株を移管した際、担当者から渡されたのが リスクと期待リターンの分析資料 だった。
初めて見る分析結果に、正直、衝撃を受けた。
「こんなに高いリスクを抱えていたのか」
「還暦を超えて、この揺れ幅を持ち続けるのは無理だ」
直感的にそう思った。
当時のポートフォリオ(業界別・比率・リスク)
| 銘柄 | 比率 | リスク | リスク寄与度 | コメント |
| A(レジャー) | 49.00% | 25.8 | 12.64 | 圧倒的。ポートフォリオの揺れの“半分以上”を作っている。 |
| B(電子部品) | 11.30% | 21.9 | 2.47 | 景気敏感で寄与度も大きい。 |
| C(通信) | 8.90% | 17.2 | 1.53 | 通信にしては動く。 |
| D(自動車) | 6.50% | 26.5 | 1.72 | 自動車は高リスク。比率の割に寄与が大きい。 |
| E(警備) | 5.30% | 19.2 | 1.02 | 安定業種だが市場の影響は受ける。 |
| F(電子部品) | 3.70% | 21.2 | 0.78 | Bと同じく景気敏感。 |
| G(金融) | 3.60% | 22.5 | 0.81 | 金利依存で変動大。 |
| H(エレクトロニクス) | 3.10% | 26.2 | 0.81 | 小型ならさらに揺れるタイプ。 |
| I(自動車) | 2.30% | 25.4 | 0.58 | 自動車セクターの典型的な高さ。 |
| J(医薬品) | 2.00% | 19.4 | 0.39 | 安定枠。 |
| K(航空) | 1.50% | 20.9 | 0.31 | 固定費大で景気敏感。 |
| L(航空) | 1.40% | 22.8 | 0.32 | 航空は本質的に高リスク。 |
| M(小売) | 1.00% | 33.2 | 0.33 | 小売は在庫リスクで振れ幅大。 |
| N(建設) | 0.90% | 22.6 | 0.2 | 受注環境に左右される。 |
| O(金融) | 0.60% | 25.6 | 0.15 | 金利依存。 |
| P(ロボティクス) | 0.10% | 33.3 | 0.03 | 超高リスクだが比率が小さいので影響は軽微。 |
■ このポートフォリオは“初心者が陥りがちな構造”そのものだった
• 景気敏感株に偏り
• 人気銘柄が多く
• リスク20〜30%の銘柄ばかり
• しかも1銘柄に極端に集中
上昇相場では大きく増えるが、下落相場では半値落ちが避けられない。
当たれば大きいが、外れれば壊滅的。
今振り返れば、極めて危険な構造 だった。
■ どうすれば良いか?
証券マンと何度も壁打ちをし、
自分なりに納得した結論はシンプルだった。
「リスク20〜30%の世界から、10%台の世界へ移行する」
第2話で整理した金融商品を組み合わせ、
リスクを下げながら期待リターンを最大化する。
このプロセスを3年ほどかけて進めた。
その経験が、
「リスクと期待リターンで資産を設計する」
という今のメソドロジーにつながっている。
■ 今、日本では投資マインドが高まっている
日経平均は6万円が見えてきた。投資初心者の多くが、かつての私と同じように、高リスク資産に夢を託していないだろうか。
次回は、この「リスク」をさらに深掘りしたい。
大切なのは、
“何年後にどれだけ資産が上下する可能性があるか”を理解し、
自分が許容できる揺れ幅まで下げていくこと。
残念ながら、日本の証券会社はこの分析を自前でではやらず、海外の投資会社の分析を活用していると聞いた。これは衝撃だったが、裏を返せば、海外では分析を活用した、資産運用がはるかに進んでいるということでもある。

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